1.著者と内容
著者はカルフォルニア大学バークレー校の教授マシュー・ウォーカー。神経科学と心理学の分野を専門とし、睡眠と神経イメージング研究室のディレクターをしています。
本書では眠りがもたらすメリット、眠らないデメリットを科学的研究を踏まえて考察し、21世紀の新しい睡眠についてまでを提案。
特に睡眠不足がもたらす脳へのダメージやガンで寿命を縮める恐ろしさを一般人でも読みやすく書かれた1冊です。
2.私が興味をもった内容
私がもっとも興味があったのは睡眠不足がもたらすカラダへの影響について書かれている3つをご紹介します。
1.睡眠不足とアルツハイマー病
アルツハイマー病の原因の一つにアミロイドβと呼ばれる毒性のタンパク質が蓄積されることは、ここ最近の研究で知られるようになってきました。
このアミロイドβは、脳の前頭葉の真ん中に蓄積し深い睡眠に大きな影響をもたらすこと、またアルツハイマー病患者の60%が睡眠障害を患っている原因にもなっているという。
アルツハイマー病の新薬が発表され話題になりましたが課題もあり服薬できるのは限られた人だけです。
睡眠不足を解消すればアルツハイマー病を未然に防ぐ可能性があるなら、解消に向けて行動を起こすきっかけになるでしょう。
2.睡眠不足とインフルエンザ
2002年のある研究で睡眠とインフルエンザワクチンと関係が明らかに。
健康な若い人を対象に2つに分けて睡眠時間と6日後に受けたインフルエンザワクチンの効果を判定。
■4時間睡眠を6日間続けたグループ
結果→弱い抗体反応しかなく50%の人は免疫反応を示さなかった
■7時間半~8時間半の睡眠を続けたグループ
結果→強い抗体反応を示す
インフルエンザワクチンを接種した後に長い睡眠をとっても効果はなく、接種前からの睡眠が大切なことがわかったと。
普段からしっかり睡眠時間を確保した上でワクチンを接種する重要性を説いてくれた内容でした。
3.睡眠不足とガン
睡眠不足とガンの関係は年々研究がすすんでいる分野。
ヨーロッパで2万5000人を対象とした研究の結果では
睡眠時間7時間以上の人より6時間以下の人は、ガンにかかる確率が40%以上も上昇するという。
世界保健機構(WHO)では夜勤の仕事には「発ガンの危険がある」と正式に認めている。
日本では医療関係者、介護、工場、清掃などの夜勤のある仕事は睡眠時間が不足がちとの声もあり、働き方改革を早急にすすめる必要があるのではないでしょうか。
3.読後の感想
400ページとページ数の多いこの本は、読書体力のない私にとって読了するまでに3日ほどかかりましたが最後まで読む価値が十分にありました。
ひと言でいるなら睡眠不足は寿命を縮めて死へと向かうということ。
睡眠不足はカラダに良くないことは昔から言われてきたし、睡眠負債が話題になったこともありました。
この本によって睡眠不足はカラダには悪と捉えることができ真剣に向き合うきっかけになったのは大きな収穫でした。
巻末には「健やかな眠りのための12のアドバイス」が付録として載っているので睡眠に不安を持っている人には参考になるでしょう。
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