医療情報に惑わされないために松村むつみ著「医療リテラシー読本」を読んで

1.「医療リテラシー読本」を選んだ理由

インターネットでは毎日のように医療情報を目にしますが、一体何が正しいのか疑問に思うことがあります。

「○○万人の患者を診た医師がすすめる・・・」「○○名誉教授が推薦する○○」を目にして私は医師という強力なバックグラウンドと信頼性から信じていました。

しかし、本やネットを読んでみると同じ内容のことでも違う見解に戸惑うことも。

医療情報は一体何が正しいのか?何を信じていいのか?わからなくなった私は、松村むつみ著「医療リテラシー読本」を読んでみることにしました。

本の表紙、目次、イラストもふんだんに使われていて医療従事者でない私でも理解できそうだったのも選んだ理由の一つです。

2.医療リテラシー読本とは

著者の松村むつみ医師は放射線の専門医でこれまで多くの臨床経験、病院勤務の経験から

「医療について理解し、適切な行動ができる力」つまり医療リテラシーが重要になってくる

との考えから執筆されたとのこと。

氾濫する医療情報に戸惑う私にとって松村氏の「医療について理解し、適切な行動ができる力」は私が欲しかった内容でした。

3.エビデンスとは何か

1.エビデンスとは?

医療情報ではエビデンスというキーワードをよく目にします。私が一番知りたかったのがエビデンスとは何なのか?著書ではエビデンスについてこう書かれています。

エビデンスとは

医学においては「科学的根拠」という意味で使用

この科学的根拠は医師の個人的な意見や考えから、複数の比較的大規模な研究で「再現性」のある結果が出ているものまであって、レベル1~6の段階に分かれ、レベル1が信頼性が最も低く、レベル1が最も高いとされています。

※国立国政医療研究センターから引用

テレビやyoutubeで「○○万人を診た医師が薦める・・・」と言った専門家の意見や考えは一番低いレベル6でした。

大学や製薬会社の研究室では実験にマウスを使いますが、エビデンスのピラミッドを見るとレベル6の下の位置でレベルに入っていません。

最も高いエビデンスは、いくつかの研究を統合して解析する「メタアナリシス システマティックレビュー」はとなります。

テレビやネットで「○○は△△の××に効果があった」という記事に出会ったら、動物実験の段階なのか?ヒトでの研究結果なのか?を確認することが大切とのこと。

2.youtube 「米国内科専門医 安川康介の医学チャンネル」

こちらは安川康介(米国内科医)の医学チャンネルで3年前世界中がコロナで不安な日常を送っている時にアップされた動画ですが「エビデンスとは何か?」をわかりやすく解説しています。

 

4.信用できる医療情報の探し方は?

1.信頼できる医療情報を探す

インターネットから信頼性の高い情報を得るにはどのようなサイトを見ればいいのでしょうか。最も信頼性の高いのは公的なサイトです。

著書では以下をすすめています。

1.公的なホームページ

厚生労働省、国立がん研究センター、自治体のページ、各大学など

2.信頼できる研究機関

医学部のある大学(国・公・私を含む)、がん研究センター、循環器病研究センター、感染症研究所、長寿医療研究センター、成育医療研究センターなど

2.URLを使っての探し方

病気の情報をすぐさま知りたい時に使うのがネットです。URLを使って公的機関、政府のサイトにアクセスする時は以下の方法を使うと便利でしょう。

「病名+.ac.jp」・・・・・大学病院、国立病院

「病名+.go.jp」・・・・・政府機関のサイト

3.病院を探したい時

病院を探したい時に信頼性のあるとサイトとしておすすめです。

厚生労働省が運営するサイト:全国の病院・診療所・歯科診療所・助産所/薬局を探す

医療情報ネット(ナビイ)より引用

5.医療リテラシー読本」を読んで

今回はエビデンスを中心にご紹介しました。著者の専門である放射線医師からみる「感染症・放射線・がん」について、また私たちが見落としがちな「病院のかかり方、薬のもらい方」などについても詳しく書かれています。

玉石混交の医療情報に「どれが正しいかわからない」と匙を投げたり、反対にCMで「大手製薬会社が薦めるから」と鵜呑みにするのではなく、自分で医療情報を判断できるヒントが満載の「医療リテラシー 読本」に出会えてよかったです。

テレビ、新聞、ネットに出回る医療情報を科学的に正しい情報を集めるスキルを身に着けることは、自分だけでなく家族を守ることにつながってくるのではないでしょうか。

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