60代を生きるコツは捨てること?黒川伊保子著「60歳のトリセツ」の感想

1.「60歳のトリセツ」の著者黒川伊保子さん

著者の黒川伊保子さんは1959年生まれの今年64歳。脳科学、人工知能を長く研究され、今は(株)感性リサーチの社長。

研究分野の脳科学をベースに男女脳の違いからくる夫婦の行動やすれ違いを書いた著書「妻のトリセツ」は40万部以上も売り上げるベストセラー作家でもある。

他に「夫のトリセツ」「夫婦のトリセツ」は夫婦問題を脳科学の視点で解決法を紹介し多くの支持を得ています。

2.「60歳のトリセツ」の内容

「60歳のトリセツ」は、60歳を迎える人にこれまでの常識と呪縛から解き放たれた人生をおくろうじゃないか。心の中に潜む「気にする」を捨てて60代を楽しもうという内容。

第1章~第6章まで「〇〇を気にするを捨てる」と題して60代が生きやすくするために脳科学者の視点は、他の書籍にはない面白さと明日から実践できるアドバイスがちりばめられている。

特に第3章「子どもを気にするを捨てる」は親として当たり前と思って子どもへの口出しは、実は脳が関係していると。とても興味深かったので一部をご紹介します。

3.第3章「子どもを気にする」を捨てる

60代の我が子のほとんどが30代。そろそろ結婚や出産の適齢期を迎えるお年頃で、友人、知人の子どもが結婚や出産したとの情報を耳にすると心穏やかではいられない。

つい「誰かいい人いないの?」「仕事も大切だけど出産にはタイムリミットがあるのよ」とつい口走って子どもとの関係がギクシャクしてしまうことも。

どんなに子どものことが気になっても小言を言ってはいけないと著者はいう。

60代が子どもの心配をしすぎると、子どもの人生がしょぼくなる法則があるのである

法則って何?この法則については次の第4章「老いと死を気にする」を捨てるで脳科学の視点をもとに詳しく紹介しています。

順調に結婚して孫ができると、子育ての先輩としてつい「抱き癖がつくから泣いても抱いちゃダメ」なんて口をはさんだりする60代が多いという。

60代は子どものことが気になって口出しをするのは脳の発達がかかわっているのだと著者はいう。

脳は56歳で完成し成熟し始める。60歳は気づきの天才で絶好調を迎える年齢

私たちが口出しをしたくなるのは脳の仕組みによるもので、性格うんぬんではないらしい。

自分を振り返ってみると、娘に子ども(私には初孫)が生まれたのは私が57歳の時。「さぁ!私の出番がとうとうやってきたわ!アドバスするわよ」とワクワクしたのを覚えている。そう私は脳の仕組みのまま行動していたのだ。

今にして思えば当然のことながら私の口出しが災いして娘とはギクシャクした関係になり、今は娘の子育ては口を出さずに見守る姿勢に徹している。

4.60代からは世間を気にするのを止めていい

本の冒頭「はじめに」には

もう、世間を気にするのを止めていい

私たち60代は、家事、子育て、仕事にと頑張ってきた。世間から後ろ指をさされないよう気を使い心を砕きながら生きてきた。

「もう、世間を気にするのを止めていい」は、残りの人生をキラキラした時間を過ごそうではないかということだろう。

少子高齢化という過去に経験したことのない時代に私たちは老後を迎える。ロールモデルがいない私たちの「老後を生きやすくするにはどうしたらいいのだろう」という問いに著者の答えは明快で実践できる内容だった。

これから60代を迎える人、すでに60代で夫婦、親子関係が気になっている人におすすめの1冊です。

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